ぷよぷよフィーバー2【チュー!】の基本データ
『ぷよぷよフィーバー2【チュー!】』のDS版を、当時新品で買った。ぷよぷよが好きだったからで、それ以上の理由はない。以下はレビューというより、20年ぶりに起動して自分の頭の限界を測り直した話である。

| 発売日 | 2005年12月24日(DS版) |
| メーカー | セガ |
| 機種 | ニンテンドーDS |
| ジャンル | 対戦型落ち物パズル |
| 当時価格 | 5,040円(税込) |
ぷよを4つつなげて消す、消えた上から落ちてきてまた消える、それが連鎖。ここまでは誰でも知っている。フィーバーシリーズはそこに、3個組のL字ぷよ、回転ボタンで色が変わる4個組の大ぷよ、そして連鎖のタネが降り注ぐ「フィーバーモード」を足した。DS版はワイヤレス通信とダウンロードプレイに対応していて、最大8人まで対戦できる。
「そこらの人よりは」という、逃げ道つきの見栄
白状すると、私はぷよぷよが上手いと思っている。今でも思っている。
根拠はある。ある、と自分では言い張っている。とことんぷよぷよで連鎖を組む練習を、何時間溶かしたか数えられない程度にはやった。10連鎖を超えれば気持ちがいいし、ぷよぷよ通のスコアで4万点を出せば、まあまあやれている方だろう、という物差しも持っている。持っているのだが、この物差しには最初から但し書きがついている。
「そこらの人よりは」。
実に都合のいい言い回しである。そこら、の範囲は私が決めてよいことになっている。負けたら範囲を狭め、勝ったら広げる。20年前からこの伸縮自在の物差しを持ち歩いて、私は自分を上手い側に置き続けてきた。
そして20年ぶりに、DSの電源を入れた。指は覚えていた。——初級者相手の画面までは。

アルルばかり選んでいた、その本当の理由
フィーバーシリーズは、キャラクターが一新された時期の作品だ。主人公はアミティに交代し、アルルはこの世界から見れば別の世界から飛ばされてきた来訪者、という扱いになっている。倒産したコンパイルの姿と重ねて、当時の私は勝手に「かわいそうに」と思っていた。元の世界には戻れないんじゃないか、とまで思っていた。他人の心配をしている場合ではなかったのだが。
で、私はアルルばかり選んでいた。懐古主義だから、と自分では説明していた。20年、そう説明してきた。
このシリーズはキャラクターごとに組ぷよの出方が決まっている。何個組がどの割合で、どういう順番で降ってくるか。そしてアルルは例外で、2個組しか降ってこない。つまり従来のぷよぷよそのままである。
懐古主義。立派な言葉だ。実態は、L字ぷよと大ぷよをうまく扱えなかったので、それが降ってこないキャラを選んでいただけである。20年かけて熟成させた思想の正体が、避難所だった。

ぷよぷよの難易度は、見た目のポップさと釣り合っていない
ここからは真顔で書く。
連鎖を伸ばす過程では、一度組んだ形をわざと崩して、すぐ組み直す。対戦ならそこに相手の盤面が乗る。相手の状況を見て、連鎖を途中で区切って、降ってくるお邪魔ぷよを打ち消して、返す。この切り返しを瞬時に判断する。おまけに色は標準で4色あるから、次に何が降ってくるかで再構築を迫られる。
連鎖が組めるのは当たり前、再構築を考えるのも当たり前。その水準に立って、ようやく本格的な対戦のスタートラインである。私は立てなかった。じっくり見て組むならできる。相手を見ながら、はできない。あれは選ばれし者のゲームだ。
見た目はどこまでもポップで、簡単な連鎖からでも楽しめるように作られている。間口は限界まで広い。そのくせ奥は底が見えない。落ち物パズルとして、これ以上完成された形を私は知らない。可愛い顔をして、中身は計算の塊です。
56色で十分だと言い張っていた子どもが、そのまま来た
DS版を起動して最初に思ったのは、キャラクターがちゃんと喋る、ということだった。携帯機でこれだけ動いて、声まで出る。ゲームとしてはこれで十分だろう、これ以上いったい何を求めるのか。当時、真剣にそう思っていた記憶がある。
思い返すと、同じことをもっと前にも思っている。ゲームボーイカラーは同時に56色まで出せた。あの画面を見て、こんなに色が出るなら十分だ、と納得していた。小学生か中学生か、どちらだったかは思い出せない。
グラフィックを1番に置かない、という物の見方は、立派な考え方として後から身につけたものだと自分では思っていた。違った。そのへんの子どもが、目の前の画面で満足していただけである。20年経って、同じ人間がDSの画面で同じことを言っている。成長というものは、そう簡単には起きない。
フィーバールールを、私は20年間ずっと誤解していた
当時の私はフィーバーモードを「ゲーム性の劣化」だと思っていた。連鎖のタネが降ってくるなんて、初心者救済の手加減ではないか、と。フィーバーの方が連鎖を組みやすい、という体感もあって、余計に頑なだった。簡単だろうが難しかろうが、満足に連鎖を組めていなかったのは同じなのに。
その理屈のまま20年生きてきて、今回ようやく事実を確認した。『ぷよぷよeスポーツ』には通ルールとフィーバールールの両方が収録されている。逆転要素があるから競技として面白い、という理由で採られている。私が「間口を広げるためのオマケ」と決めつけていたものは、とっくに競技の一角に座っていた。
ついでに書いておくと、私はこのDS版で「レートの上位100人に一瞬入った」記憶を持っている。持っているのだが、そもそも全体が何人いたのかを覚えていない。記憶というのはいくらでも改ざんできる。上ぶれした一瞬だけを20年保存し、それ以外を消した可能性の方がはるかに高い。
懐古の私が、セガに礼を言う番
コンパイルは1998年に倒産して、ぷよぷよの権利はセガへ渡った。キャラクターは一新され、ルールは増え、私は不満を並べた。並べながら、DSでも遊べるという理由で新品を買った。矛盾は自覚していた。
あれから20年、ぷよぷよは競技として生き延びて、2024年にも新作が出ている。「フィーバー」の名を冠したタイトルは、結局この2005年の1本が最後になった。当時さんざん文句をつけた作品が、シリーズが途切れなかった証拠として手元に残っている。
ちなみにDSのフィーバーモードのBGMを久しぶりに聴いたが、「これだ」という感じがしなかった。私の中の基準はWindows版のぷよぷよフィーバーで固まっていたらしい。懐古主義者は、懐古する対象すら自分の都合で選ぶ。
総評
評価: ★★★★☆(DSで持ち歩ける完成されたパズル。ただし本気で潜ると底が抜けている)
推奨アクション: 中古で買うなら、まずDS本体が生きているか確認するところから。当時遊んだ人は、キャラ選択でアルルを選ばずに1度やってみてほしい。L字と大ぷよから逃げていたかどうかが、10分でわかる。当時を知らない人は、フィーバールールから入って構わない。あれは手加減ではなく、もう1つの競技だ。
結局、20年ぶりの私が確認できたのは連鎖が組めることまでで、対戦の入口は今も閉じたままである。上手いかどうかについては、今後も「そこらの人よりは」で通すつもりでいる。範囲は、私が決める。
いま『ぷよぷよフィーバー2【チュー!】』を遊ぶには
中古で探すなら、下の4つから。


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