『ポケモントローゼ』の基本データ
ポケモントローゼ のレビューを書くつもりで電源を入れた。2005年のDSソフト、ポケモンを4匹そろえて消すアクションパズル。中古で1本手に入れたら、前の持ち主のデータがそのまま残っていた。

| タイトル | ポケモントローゼ |
| 機種 | ニンテンドーDS |
| 発売日 | 2005年10月20日 |
| 発売元 | 株式会社ポケモン(販売: 任天堂) |
| 開発 | ジニアス・ソノリティ |
| ジャンル | アクションパズル |
| 当時価格 | 3800円(税込) |
盤面には上からポケモンが降ってくる。タッチペンで行または列をつかみ、横に、あるいは縦にスライドさせて位置をそろえる。同じポケモンが4匹くっつくと「トローゼ」して消える。悪の組織フォボス軍にさらわれたポケモンを取り返しに行くというのがアドベンチャーモードの筋書きで、最初の潜入先は「ひみつそうこ」である。
知っているはずのポケモンが、半分わからない
本作は当時遊んでいない。ただしポケモンそのものは遊んでいた。リアルタイムで追いかけた最後がダイヤモンド・パールで、そこまでのシリーズなら名前も見た目もひととおり頭に入っている。2005年ならその範囲にすっぽり収まる。だから登場するポケモンで困ることはないと思っていた。
タイトル画面では、ポケモンがいくつもぐるぐる回っている。
わからないのが混ざっている。
半分は知っている。残り半分は初対面である。遊んでいた側の人間のつもりでいたのに、20年前の画面から知らないポケモンが出てくる。知っているという感覚は、自分で思っているよりずいぶん狭いところにしか効かないらしい。
ルールは3行で終わる。指は1匹も選べない
モードを選ぶ。エンドレス、アドベンチャー、バトル、ペア。バトルとペアは通信で相手と向き合うものなので、1人で持ち込んだ私には、はじめから縁がない。アドベンチャーへ進む。前の持ち主のデータには先のステージがいくつも解放されていて、私はその横で、1番から始めた。
1面はチュートリアルだった。上に置いてあるソルロックを右にスライドさせなさい、と言われる。言われたとおりに滑らせる。4匹そろう。消える。次は縦に並べなさいと言われる。並べる。消える。ここまで所要2分といったところで、この時点でルールは全部説明され終わっている。同じポケモンを4匹くっつける。以上。パズルとしての説明は本当にそれだけだ。ルールはわかりやすい。かなり。
問題はその先にあった。
このゲーム、ポケモンを1匹だけつまんで動かすことができない。動かせるのは行か列で、右へ1つずらせば、その行あるいは列にいる全員が、仲良く1つずれる。だから目当ての1匹を目的地へ届けようとすると、その道中で、必ず何かを巻き添えにする。せっかく寄せておいた3匹がいま押し出した1匹のせいでまとめて解散していくのを何度も眺めた。頭では分かる。指が納得しない。

そのうえ画面が広い。DSの2画面をまたいで盤面が伸びていて、視線は上下に往復し続けることになる。狙った1匹を追いかけているあいだに、目を離した側の列が、勝手に埋まっていく。消したいものが消せず、消すつもりのなかったものが消えていく。
意外と難しいな。狙ってこいつを、というのが。
ルールがわかりやすいことと、思ったとおりに消せることは、まったく別の話だった。前者は開始2分で手に入る。後者は30分そこそこ遊んだくらいでは手に入らない。
ぷよぷよで鍛えた指は、横には効かない
連鎖はある。ちゃんとある。
一度トローゼすると「トローゼチャンス」に入り、必要な数がそこから減っていく。4匹そろえれば次は3匹で消え、その次は2匹で消える。畳みかけている間は盤面がまとめて溶けていく。端のほうで連鎖が勝手に走り、こちらが何もしていないのに数が跳ね、気づけばチャンスが終わっている。この手触りは、たしかにぷよぷよのそれに近い。私はぷよぷよを長く触ってきた人間で、あれは早くに完成してしまったパズルの代表格だと、いまでも思っている。連鎖の快感がどういう形をしているかも、いちおう知っているつもりだった。
ところが勝手が違う。落ちものは基本的に縦の勝負で、自分の手で積んだ形が、基本は縦にほどけていく。こちらは横だ。列ごと動かすので、積むのではなく編むに近い。編んだつもりの形は、次に降ってきた1匹で、あっさりほつれる。
そこで出てくるのがメタモンである。必要な数より多くくっつけてトローゼすると、おたすけポケモンとして降ってくる。こいつはどのポケモンともくっつく。何にでも化けるという設定が、そのまま万能ピースとして実装されているわけで、素直に感心した。うまい。ポケモンを知っていれば説明が要らない。
感心はしたが、使いこなせたかというと別である。万能ピースというのは置き場所を選ぶ権利があるという意味で、権利があるということは判断が要るということだ。降ってくるのは速い。ピンピン鳴りながら次から次に落ちてくる。置き場所を決める前に隣のポケモンとくっつき、いつの間にか消えている。やれているような、やれていないような手応えのまま、画面だけが忙しく動いていく。
ついでに言うと、この作品は「トローゼ」という言葉をよく口にする。特にチュートリアルでめっちゃ言う。トローゼした。トローゼチャンス。ファイナルトローゼチャンス。トローゼめっちゃ言うな、と声に出して突っ込んだ。取ろうぜ、から来ているのだろうと見当はつけたものの、確信は最後まで持てていない。
秘密倉庫は、5つとも同じ説明で建っている
アドベンチャーは、ステージを順に選んで潜入していく形式だ。最初の目的地はひみつそうこの1番。フォボス軍が盗んだモンスターボールをため込んでいる怪しげな倉庫という説明が出る。なるほど怪しい。難しそうだ。
2番へ進む。フォボス軍が盗んだモンスターボールをため込んでいる怪しげな倉庫。
3番。同じ。4番。同じ。5番に至って私はようやく、これは5つとも同じ説明文で運用されているのだと理解した。ちょっと寂しいなというのがそのときの正直な感想である。倉庫が5棟あるという事実だけが淡々と積み上がっていく。悪の組織にしては几帳面な在庫管理だ。
もっとも、これを手抜きと呼ぶ気にはならない。このゲームの重心は明らかに盤面のほうにあって、ステージの背景説明は導線として最小限で足りると判断されたのだろう。そもそも、その説明文に重きを置いて遊ぶ人は少ない。倉庫の由来を噛みしめている間にも、上からは次のポケモンが落ちてくる。読ませるためではなく、次の盤面へ送り出すために置かれた1行なのだ。
倉庫を進んでいくと、ピカチュウが出た。ココドラが出た。たまにレアな個体が混ざる。誰が出てくるかを眺めるだけでも間が持つのは、看板の強さというより、名前を覚えている側の勝手な事情だろう。ただしこちらは眺めている場合ではない。眺めた分だけ盤面が埋まる。
ポケモンが、真っ黒になる
ポケモントローゼ の難易度は、盤面の広さと落下の速さで作られている。降ってくる並びは選べない。編みかけの形は、望まない1匹で崩れる。それでも理不尽だと感じたことはなかった。速いものは速い。こちらが遅いのも、単純に遅い。
邪魔をする石も出てくる。消えず、どかず、盤面に居座る。ただし一度に降り注ぐようなものではなく、遊んでいるうちに少しずつ数が増えていく程度のものだ。これは慣れの問題だろう。
問題はボスだった。
盤面のポケモンが、いっせいに真っ黒になる。色が消え、柄が消え、輪郭だけが残る。何がどこにいるのかをシルエットだけで判断しろということらしい。ただでさえ2画面を往復して探し回っているところへ探すための手がかりを取り上げられるわけだ。私の頭に半分しか入っていないポケモンが、そろって黒い置物になる。
見えねえ。

総評
ルールは2分で飲み込める。1面が短いので、DSを開いて2、3面進めて閉じる遊び方にはよく合う。そのかわり、狙った1匹を狙った場所へ運ぶ精度は、こちらが盤面の広さに慣れるまで戻ってこない。大人が落ち着いて唸れるパズルかと言われると、少なくとも私の手つきでは終始せわしなかった。ポケモンの看板で持っているゲームだと思われがちだが、メタモンを万能ピースに据えた一手だけは、看板を借りただけでは出てこない発想である。
推奨アクション: まずアドベンチャーを1番から素直に順番に進めてほしい。ステージ説明は5つとも同じでも、出てくる相手と落下速度は着実に変わっていく。そして誰か1人つかまえられるなら、ペアを試す価値はある。1人で追いかけていると忙しいだけに思えるものが、2人で盤面を分け合った瞬間に別の意味を持つはずだ。
私はというと、30分あまり指を滑らせて、最後に残っているのは真っ黒に塗り潰された盤面の記憶である。ルールはわかりやすい、かなり。そう言った口で、私は1匹も狙ったとおりに消せていない。
いま『ポケモントローゼ』を遊ぶには
中古で探すなら、下の4つから。

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